常識を崩すために。~「具体⇄抽象」トレーニングを読んで~

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こんばんは。
ピクセルアニメクリエイターのおかか容疑者でございます。


「考え方」に関する本は比較的ダイレクトに自分に影響を与えるので、ワタシとしてはかなり好きなジャンルです。
今回も考え方のヒントになる一冊をご紹介しますね。


「物事を抽象化しよう」といったアドバイスはいろいろなところで聞くのですが。
「抽象化って結局は何なのよ??」といった部分は割とよくわからないもの。
ワタシもその点が結構引っ掛かっておりまして。それなら一度しっかりその辺りを解説してくれる本を読んでおいた方がいいだろうと。
抽象という概念についてオススメされている本がございましたので、試しに読んでみました。






というわけで本日は、「「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問」(細谷 功)についてお話しいたします。


(新書版だと表紙が変わっていてちょっとキャッチーな感じになっていますね。)





全体の感想

冒頭でお話ししました通り、思考の「具体化」「抽象化」についての本です。



でね。
まず最初に表紙を見てアナタも感じたと思うのですよ。



うわムズそう…………




明らかにお堅い表紙。
しかし先に申しておきますと、これは意図的にこうされております。
著者の考えとして、「話を聞こうと思わない人に無理に説明をしても聞いてもらえない。もともと興味がある人にだけ伝えられるようにしたい」といった内容のお話が本文中に挟まれております。
いわゆる一つのフィルタリングなんですよね。
(「ここでそんなネタばらししていいのか」と思われるかもしれませんが、この辺境のブログのこんな話をわざわざ聞きに来られている時点で相当アナタのリテラシーは高いので大丈夫だと思います。)

というわけで表紙は少々古そうに見えるのですが、中身は「AI」やら「サピエンス全史」やら出てきて、かなり新しい話も盛り込まれております。
めちゃくちゃ面白い!



読んでいる中で著者が
「具体と抽象の考え方ができないと、代替ができてAIに使われる人間になりますよ」とか、
「知識は受動的に教えてもそれなりに他人に身に着けさせられるけど、考える力は能動的に伸ばさないと伸びませんよ」とか、ちょいちょい脅してきます。
実際コワイので「ちゃんと覚えないとな………」という気にはさせられますね。
あと解説のための例えがかなり上手いです。表紙のイメージとは裏腹に、表現力に感心しながら楽しく読むことができるかなと思います。



ちなみに著者いわく、「「具体の世界」と「抽象の世界」の間にはガラスの天井がある。具体の世界の上に抽象の世界があって、上から下は見ることができるが、下から上を見上げてもその存在にすら気づかない」とのことです。
だからこういった概念を知ることすらなく日々生活している人もそれなりにいるのだろうと。そう考えると空恐ろしいものですね…。




注目ポイント

それでは今回の注目ポイント。
第3章「抽象化とは?」から引用いたします。



規則や常識にとらわれているというのは、具体レベルにとらわれているのとほぼ同義と言えます。その規則や常識を世の中の全てだと信じて疑わないために、その世界から出られないというわけです。
一方、規則や常識を抽象化して考えられる人はそれをメタの視点からとらえ、なぜそれが必要なのか、その意味するところは何なのかと問いかけることで、その抽象レベルの意味合いを抽出し、もしそれに変化があるのであれば新しい規則を生み出し、次世代の常識をゼロベースから作り上げることができるのです。

「「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問」(細谷 功)

何かを変えるためには抽象化することがとても大切、という一文でございます。
ワタシもこの概念がしっかりと理解しきれていませんが、理解している中で申してみますね。


例えば「〇〇という問題は××があるからどうしようもない。諦めよう。」で終わるのは具体の考えしかできていないパターン。
「〇〇という問題は××があるのがネックだ。
しかしそもそもなぜ××があるのだろう?今の状況で改めて考えなおしたら××はどこかしら変えられるんじゃないかな?
そうしたら〇〇という問題も改善できるかも!」
などと、少し時間軸をズラしてみるというか。
より根本的な部分を捉えてみて、そこから問題に着手する。こういったアプローチってすごく役に立つと思うんですよね。



ワタシなりに具体例を出してみたいので、日本人なら多くの方が知っているであろう「桃太郎」の話を使って解説を試みたいと思います。
(以下「桃太郎」のネタバレが含まれております。未読の方はご注意ください!)



桃から生まれた桃太郎は大きく育った後に鬼退治に鬼ヶ島へ向かい、道中で三匹の家来を迎えて鬼ヶ島で鬼を倒し、財宝を持ち帰ってめでたしめでたし。
まずこれが桃太郎のざっくりしたストーリーですね。


この話だと話のバックボーンがよく見えていないので、もう少し詳細に眺めてみましょう。
鬼が財宝を持っているのは人間の村を襲っているから、という話だったと思うのですが、一つの大きな問題として「鬼が人間の村を襲う」という問題が発生しています。
そして、この時点で「人間は鬼には逆らえない」というルールが人間の中にできているはずなのですよね。
なぜか?「鬼は強い」から。逆らったら命が無くなるかもしれません。
そして当然、桃太郎もおじいさんとおばあさんからそのように聞かされているはずなのです。


しかし彼は鬼退治に向かう事にしました。
彼も「鬼が強い」ということはわかっていたはずです。
ですが、桃太郎には他の人間よりも力がありました。

ただおじいさんとおばあさんの話を鵜呑みにしていたら、桃太郎もはなから諦めて、鬼に頭を下げて財宝を献上していたかもしれません。
しかし桃太郎は一度この問題を抽象化してみた。

鬼に財宝を渡さなければならないのは「人間が鬼よりも弱い」というルールが(勝手に)作られたためです。
ただ、この「ルール」はもしかしたら自分には当てはまらないのではないか?
腕っぷしや剣術の技量などは周りの人間よりも桃太郎の方がはるかに高いはずです。
ならば、鬼自体をどうにかしてしまえば、結果的に鬼に財宝を奪われることもなくなる。

あまりにも脳筋ですがこれは一つの抽象化した考え方と言えるのではないかな?と。



この例えがいいのかどうかわかりませんが、この世にはいろんなルール、常識というものが存在しております。
ワタシは背教の士を名乗っておりますのでこの「常識」という言葉が大嫌いなのですが、その常識を覆すにはどう考えればよいか?
その一つの発想として非常によい部分だなと感じました。





まとめ

本日は「「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問」についてお話しいたしました。


感想で述べました通りめっちゃ面白いです。
そして、著者の話によれば「知ろうとしなければ知ることのできない世界」の一つでもあります。
上司から部下への指示の出し方や、クライアントの曖昧な依頼をどう受け取るべきか?など、いろいろ書きたいのですが、これはもう読んでいただいた方が早いですね。

間違いなく読んでおいてよかったと言える本ですので、ぜひ一読してみてくださいませ。





さて…そろそろお時間です。
またのご面会、心よりお待ちしております。

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