美徳と悪徳ってなんだ? ~「快感回路」を読んで~

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こんばんは。
ピクセルアニメクリエイターのおかか容疑者でございます。


ワタシは自分の創作作品があるのですが、そこでの主人公の片割れであるヒティは「享楽の神」というキャラクターです。
こういうキャラクターを扱う以上、人間の「楽しさ」や「快楽」についてはある程度知っておかねばなりますまい。

ということで、他の本でも名前が挙がっていたコチラの本を読むことにしてみました。






デイヴィッド・J・リンデンの「快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫)」です。

本日はこの本について語らせていただきましょう。





全体の感想

ざっくり言うとこの本は、「人間が気持ちよくなる行動はすべて『内側前脳快感回路』という同じ部分の活性化があるよ」という話をしております。


冒頭のあたりで著者も注意として書いておりますが、専門用語が結構頻繁に使われています。
真面目にひとつひとつ理解していけば勉強にはなると思いますが、正直覚えきれないんじゃないかなと。
ですのでよく出てくる言葉だけある程度理解しようと努めて、細かい解説はざっと読み飛ばしていってもいいんじゃないかなと思います。



いいなと思ったポイントは、実際に行われた様々な研究を紹介してくれているところ。
高カロリー食による変化、強迫観念による判断の変化など、「こんな研究がすでに行われていたのか」という新たな発見が多くて純粋に面白いですね。
(人体を対象とした、現代からすると非人道的なものも含まれていて、なかなかショッキングなものもあります)
特に薬物・食事・ギャンブルあたりのテーマがよかったです。


後半は未来予測についていろいろ語られております。
このあたりは個人的にはあまり刺激がありませんでしたが、科学技術によって神経を操作できるようになったらどうなるか?など、なかなかにダイナミックな展望も描かれております。
未来予想図のひとつのタネとして読んでみるとよいのではないかなと。





注目ポイント

では、今回の注目ポイントについて。
「第1章 快感ボタンを押し続けるネズミ」より引用です。




美徳と悪徳は神経から見れば一つであって、どちらを向こうとも、快感が私たちを導いていることに変わりはない。

快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか(デイヴィッド・J・リンデン)




人間が行動する原点には何かしらの快感があると。
基本的に自分がやりたいことって楽しさや気持ちよさがあること、自分にとって「快」なものですよね。
ここは多くの方にとって理解していただけると思います。


では具体的にどのような行動か。
高カロリーなものを食べる、お金を得る、性行為、ドラッグなどなど。このような行動は世間的には「悪徳」として見られやすいものです。
これらの事で快感を得るというのは間違いない部分でしょう。

しかし、他にも運動をしたり、瞑想にふける、仕事で他者から承認される、ボランティア活動など、「悪徳」ではない「美徳」として見られやすい行動でも、我々は快感を得ることができます。



確かなことは、「「善悪」という基準はあくまで人間が勝手に作り出したもの」ということ。
行動自体がどのようなものであっても、そこに善や悪といった概念を付け加えているのは人間なんですよね。
身体はそんなことは何も気にしていないので、ただ「大きな刺激があった」という事実だけを受け入れて、快感を得ています。
そして考えてみると、世の中で起きていることってほとんどのことが「良い面」と「悪い面」の両方を持っているんですよね。


物事の善悪をどちらも見る。場合によってはどちらを重視して見るのかを考える。
これが少しでも意識できると、「〇〇は最高!」とか「××はダメ!」といった極端な思考に陥りにくくなる。
「完全な善」「完全な悪」などというものはまずありえなくて、どんな物事も基本的にはグレーなのだと。
SNSなどではよく過激な意見を目にする機会がございますが、この「美徳も悪徳も実は根底は似たようなものなんだ」という考え方を持っておくと、自分を中立的な立場に置いて事態を見やすくなるのではないかな。と思います。



ひとつワタシが思いついたのは「サブスクリプション」、いわゆるサブスクというサービス形態についてですね。
サブスクは買い切りと違って、サービスを利用している期間はずっとお金を払い続ける必要がございます。
ここだけ見ると「買い切りよりも損じゃないか」と言えます。

ですがサブスクは「お試しがしやすい」という利点もありますよね。
試しに一か月だけ使ってみる。それで使わないならすぐ解約すればいい。
買い切りは最初に大きな額を支払うため、「あまり合わないな…」と思ってもサンクコスト・バイアス(「まだ元が取れていない」などと考えてしまうアレです)がかかって、不要でも持ち続けることになりやすいです。
少額でテストができるのは大きなメリットだと思いますし、その点も利用者側にある程度は受け入れられてサブスク型サービスが広がっていったのでしょう。



このような話は大抵の物事で言えるため、キリがないので他の例は挙げませんが。
物事の良いところ・悪いところというのは人間が、ひいては個人個人が勝手に決めているものなのだ。という認識は頭の片隅に置いておいた方がいいな。と感じております。





まとめ

本日は「快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか」についてお話しいたしました。

少々読みづらい本ではありますが、人間の行動の原点ともいえる「快」について、様々な行動を一つずつフォーカスして解明を試みている面白い本です。
人間の仕組みにご興味がありましたらぜひ。





さて…そろそろお時間です。
またのご面会、心よりお待ちしております。

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