「王様」のご機嫌を取る。(「感情を制する者はゲームを制す」)

読書記録


こんばんは。
ピクセルアニメクリエイターのおかか容疑者でございます。


本日はコチラの本、「感情を制する者はゲームを制す」(梅原 大吾・石川 善樹)を読んでの感想をお話しいたします。



格闘ゲーム(格ゲー)のプロゲーマー、「ビースト」として名高い梅原大吾さんと、医学博士・石川善樹先生のお二人による対談です。
石川先生もまた昔はかなり格ゲーをかなり遊んでおられたようで。その上、梅原さんに完敗したことで格ゲーを引退なされたという、なかなかに因果な組み合わせの対談でもあります。面白いものだ。


ページ数としてはかなり少ないです。一時間ほどで読み終えられるかと思います。
しかしまあ内容が面白いこと面白いこと。
もとより梅原さんのことはワタシは大好きで尊敬する方なのですが、梅原さんの見解に対して石川先生の研究による深掘りが加えられていき、知見の詰まったお話になっておりますね。


ゲーム自体の話ではなく、「物事の捉え方」といった部分でのお話がメインとなります。
その中でも梅原さんは格ゲーの例えなどを織り混ぜていき、ゲーマーなら幾度となく考えるであろう「勝負」についてわかりやすくお話されています。
もちろんゲーマー以外の方でも読んでみて面白いものとなっております。なにせ、ほとんどの方は程度の差はあっても、何かしらの「勝負」には巻き込まれているはずですからね。


今回はその素敵な対談の中で、ワタシが気になった一節をご紹介します。


その時、自分が強くなっているという感覚はありませんでしたが、これだけやっているなら強くなるはずだ、やらないよりはましだろうという考え方に支配されていました。それはつらくても頑張る自分に酔っていただけです。狂ったように練習をしているから勝つしかない、これだけやった自分が負けるなんて許されない、というおかしな暗示を自分にかけていました。
それでも夏までは問題ありませんでしたが、その冬、後半戦の戦績はぼろぼろになりました。
大会で勝ちたい、賞金を稼ぎたいというのはエゴにすぎません。プロ一年目の時は、つまらなくても耐えてくださいと感情を抑えつけていましたが、まったく成果が上がりませんでした。無理矢理に自分の望みだけを満たすのは、絶対に長続きしないと考えています。

梅原さんはプロゲーマーとなった一年目、とにかくゲームに打ち込んだと話します。
使える時間はとにかくゲームに充て、一日に16時間も練習をしていたとのこと。高橋名人が聞いたら卒倒しそうな時間です。
「いつもイライラしてばかりだった」とご自身は振り返っております。
とにかく自分の時間は全てゲームに充て、ストイックに練習を続けた。このこと自体は本当に称賛すべき行為です。しかし、次第に成績は悪くなっていったそうです。


これだけ頑張ったんだから。これだけ我慢したんだから。これだけ苦しい思いをしたのだから。だから、結果が出てほしい。
こう考えるのは人として当然だと思います。それが人情というもの。

しかし世の中の多くの出来事、とりわけ勝負事というものは不確実なものです。当然ながら相手だって勝つために全力を尽くしてきています。
その相手の都合を考えず、自分の都合だけを押し通そうというのは、梅原さんも述べておられるようにまさしく「エゴにすぎない」のでしょう。


ではどうするか。
梅原さんは「感情に勝つことはできない」と考えて行動するようにしているそうです。
この自分の感情というのはいわば「王様」。自分の欲望を王様に伝えたとしても、王様が「つまらない」と判断したらそれはおそらく結果にはつながらないだろう、と。



ここからはワタシの私見ですが、現代に生きる人々は自分の感情、この「王様」というものを蔑ろにしている人が多いのではないか?と考えてしまいます。
周囲の人の期待、世間の意見といったものを優先して生きていく。そうすることで、自分の王様の意見を聞かない。いや、「聞こえなくなる」の方が正しいのかもしれませんね。これまでの社会の考え方では、このような自分の感情を優先して動くことは悪く見られがちでした。
これを繰り返して、自分の感情について考えることをしなくなるにつれて、感情がどんどん麻痺していくのではないかと。


「仕事なのだから」と自分を追い込む場面も時には必要だと思います。しかしそればかりを続けていると、いずれ梅原さんのように頑張っているのに結果が出ない、という状態になってしまうかもしれません。自分が実際にこうなったら、かなりの絶望を味わうことになるでしょう。
定期的に自分の感情を見直す。メンテナンスしてあげる。辛いことから完全に逃げるのは難しいかもしれません。そんな時でも、「自分の王様は何をしてあげたら喜ぶだろうか?」と考えてみる。
あまり計画を立てずに、直感的に「今はこれがしたいな」ということをちょっとやってみる、というのも面白いと思います。


人生は長期戦。瞬間的に結果を出すことも大事とは思いますが、まず第一にどれだけでも長く戦い続けること。ここが一番大事なのではないでしょうか。
そのために、自分の「王様」を大切に敬ってあげましょうね。



さて…そろそろお時間です。
またのご面会、心よりお待ちしております。

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