アクワイアの「オクトパストラベラー」の制作方法に衝撃を受けた話。

アイキャッチ 作業法・思考


こんばんは。
ピクセルアニメクリエイターのおかか容疑者でございます。


※当記事ではゲーム「オクトパストラベラー」本編についてのお話はございません。ご了承ください。

OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー) | SQUARE ENIX
旅立とう、きみだけの物語へ――Nintendo Switch、PCにて発売・配信中

世界的にも名作として知られているスクウェア・エニックスのゲーム「オクトパストラベラー」。
ワタシも興味はかなりあるのですが、間違いなく時間泥棒になることは確定しているためなかなか手を出せずにおります。ひーん。
ロマサガは昔やっていて本当に面白いシステムだと思うので、その正統後継とも言えそうな素晴らしいゲームですな。


ちなみにこのゲームは発売はスクウェア・エニックスですが、開発はアクワイアというメーカーが手掛けているとのことです。
ワタシはアクワイアを「侍」シリーズで認知しております。(発売はスパイク。)
ゲーム開始直後に河原で女子を襲う暴漢に味方しようとしたら逆にボコられて簀巻きにされた思い出が蘇る。あのメーカーがこんなに成長していたんだなあ…。



閑話休題。
オクトパストラベラーのプレイ動画などを見ていて、個人的にはやはりキャラクターのドット絵グラフィックに目を惹かれます。
滑らかで生き生きと動くアニメーション!
2Dキャラクターと3Dの世界を見事に調和させた世界を創り出しておりますよね。


さて。
少々前のお話となりますが、昨年末の2023年12月。
電ファミニコゲーマーの、タイトルで思わず食いついてしまった記事がございました。



『オクトパストラベラー』シリーズの「よく動く2Dドット絵」はどのように作られているのか。イチから全て描くのではなく、“ドット絵を多関節モデル”に分解してアニメーションを作ることで、効率的な制作が可能に【WePlay Expo 2023】
今回、電ファミ編集部では11月17日から中国・上海で行われた大規模インディーゲームイベント「WePlay2023」の取材を行った。同イベントの一環として講演会「CiGADC」も実施されており、その講演のひとつとしてアクワイアの代表取締役・遠藤琢磨氏によるセッションも行われた次第である。本稿ではそのセッション「『天誅』か...

このタイトルを読んでドット絵アニメーションに携わる人間としては一読しないわけにはいかないでしょう。


今回はこの記事を読んで思ったことを語らせていただこうと思います。




アクワイアの挑戦

この記事の前半はPSソフトの「天誅」についてのお話ですね。
敵に見つからずに必・殺!していくメタルギアライクなゲームだと記憶しております。
このゲームも遊んだことはないのですが、Vジャンプとかで結構特集されていた覚えがございますな。Vジャンプとかいう単語懐かしすぎる……。


そこから本日の本題、オクトパストラベラーへと話が展開します。
アクワイアは大型ゲーム開発のときはUnreal Engine(アンリアルエンジン)をよく使っていますよとのことで。さすがUnityと並ぶゲームエンジン二大巨頭でございますわな。GDevelopも使ってほしいな。


などと読み進めておりますと。




なお『オクトパストラベラー』シリーズのキャラクターアニメーションでは、多関節アニメーションをドットに起こすという方法を取っているとのこと。これには、もともとアクワイア自体が3Dポリゴン世代のゲーム会社であり、ドット世代ではないという背景があるそうだ。

その方法としては、まずドットでベースとなるキャラクターのビジュアルを制作する。それをツールを使って自動で多関節モデルに分解し、アニメーションをさせるという具合だ。この方法は全パターンのドットアニメーションを制作するよりも効率的で、多くのアニメーションを収録できる。その一方でドットとして破綻している場合もあるため、細かい部分についてはひとつひとつ手で修正しているとのこと。

『オクトパストラベラー』シリーズの「よく動く2Dドット絵」はどのように作られているのか(電ファミニコゲーマー)

記事タイトルのお話が出てまいりました。引用させていただきます。
この部分、やはり考えさせられるものがありますね。



アクワイアはドット絵世代ではない。
にも関わらず、世界的に評価されるドット絵ゲームを出せている
わけです。(当然ゲーム性自体だったり、グラフィック以外の面も含めて高評価ではありますが。)
世間一般にどのくらい評価されているのかはワタシも調べようがなくて正直わかりません。ですが、確かな指標となる事実が一つございますね。


このゲームは「スクウェア・エニックスから発売されている」のです。
言わずと知れたドット絵黎明期のあの頃を駆け抜けてきた、”あの”大手から「このクオリティなら商業作品として出してもいいな」というOKをもらっているわけですよね。
ですので(こういった会社の事情は詳細不明ですが)少なくとも「スクウェア・エニックスの名を冠して問題ないレベル」として評価されているはずです。



この記事のお話から、極論ですが、必ずしもドット絵に精通している職人がいなくとも、評価されるドット絵作品は作れるとも言えます。
このツールというものがどういうものかわかりませんが、もしかしたらこの手法に抵抗を持つ方もおられるかもしれません。
しかし、アクワイアが最善の方法を考えて実行し、高い評価を得ている。という部分だけは間違いなく事実。
ここは受け入れる必要があるでしょう。(ワタシは素直に素晴らしいなと思っております。)


ドット絵は職人技みたいなイメージはありますが、現代のテクノロジーを使うと職人レベルのドット絵を作れてしまう。
そういう時代なので、ドット絵やってる側としても新しい技術をどんどん取り入れて、よりクオリティの高い作品を作っていく必要があるなと痛感させられました。




「評価される」ということ

(ワタシの分野の関係上、イラストなどのクリエイティブな界隈を想定してお話しますね。)



自分の活動している界隈で評価されたい、という気持ちは皆持っているでしょう。
しかし「大半の人は自分のいる界隈の外にいるのだ」という認識は常に心に置いておく必要があるな、と思っております。
そして、その人たち(言わば「大衆」ですね)は「完成品が良いか、悪いか」しか評価しないわけです。


方法を選んでいる時点で余裕があるという表れ。
必死な奴はただ最良の方法だけを考えて突き進む。

仕事に矜持を持つのは必要だと思いますが、それは自分の行動の方向性を自分で定めるためのもの。他者から評価してもらう材料ではない。
「こういうことをやってるんだ!だから評価しろ!」と叫んでも相手からしたら「知らんがな」なのです。
大事なのは「作品を最適な方法でいかに自分の理想通りに魅せる」か。



加えて、インターネットの発展により何事も競争相手が世界になってきている、という現代ならではの問題もございます。

一昔前は日本はだいたい日本国内で市場ができていたこと、また海外のものに触れる機会もそう多くはなかったため、基本的に国内での競争に勝てればだいたい大丈夫な時代だったと思います。(それだけでも大変なんですが。)
しかし現代は海外の情報やモノも皆が当たり前のように知ることができるようになってきています。基準が世界に移っていってしまった。
たとえ日本国内で見ればマイナーな分野であっても、世界で見ればほとんどの分野において何かしらの先人がいる。そして先人はだいたい自分より上手いわけです。
そういった方々と競い合う必要があるならば、余計に細かな方法論にこだわっている場合ではないだろうなと。



格闘ゲーム「KOF」に登場するクラークという名言製造マシーンみたいな軍人キャラがいるのですが、「甘ったれるなよ。過程を評価してくれるのは学校だけだぜ。」という勝利セリフがございまして。
このセリフは時が経ってもずっとワタシの心の中に残っております。
これが本質なんだろうな、と。




まとめ

今回はアクワイアのゲーム開発から感銘を受けた話でございました。
この多関節モデルのツール以外にも今後技術の発展によって考えもしなかったようなツールがどんどん出てくるのではなかろうかと思います。昨今話題のAIも含まれますね。
こうして新しいツールが出るたびに各人いろいろ思うところはあるでしょうけども、大切なのは自分の目的に一番合致した方法がどれか?を考えることではないかな。というお話でございました。


単純にこういうドット絵アニメーションの作り方があるのかと驚かされた話だけする予定でしたが、語っていくといろいろと浮かんできて自分の事も内省する形になりましたね。
こういう想定外の連鎖が起きるから物事を文章化していくのって面白いんだ。





さて…そろそろお時間です。
またのご面会、心よりお待ちしております。

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